民主党の新体制決まる・にじむ「保守・脱労組」
民主党の新党首に前原誠司氏が当選し、就任が決まった。
以前あるサイトで民主党のことを「単にリベラル・中道と言うだけで具体的政策のまとまりが無いままに曖昧な旗印の下で集まった集団のため、非常に基盤が弱い」「(党首ポストは)菅・鳩山以外は求心力を確保できない」と論評したことがあったが、まさに今回の党首選はそれを象徴するかの様な選挙であった。
岡田民主党の衆院選での大敗が決定的となった11日夜、真っ先に次期党首候補として出てきたのは菅直人氏であった。
何かあるとすぐに同じ人物の登板が取り沙汰されるのは、その人物が有能であるというよりは、その人以外に人材がいないことの表れと言ってもいい。
そんな中で11日の段階ではダークホース的存在であった前原氏が党首に選出されたのは非常に評価できる。
そしてまた、個人的にも前原氏が脱労組を決断したことは大いに評価できる。
だが、ここで再び問題となるのは党内のまとまりの無さである。
脱労組色を鮮明にすることで、民主党左派に位置する旧社会党右派勢力との対立が出て来るのは必至であろうし、また憲法改正問題においても党内に大きな亀裂が走るのは必至であろう。
ここが民主党の最もおかしなところであり、前回の国会会期中や選挙時から言われ続けた「党内不一致」である。
そもそも社会主義を掲げていた政党と、正反対の自由主義を掲げていた政党が中間の「リベラルと言う『イメージ』」だけを頼りにくっついたのである。
まともであるはずが無い。
いずれにせよ、繰り返しになるが前原氏と言う新顔が党首に就任したことと、脱労組を鮮明にしたことは積極的に評価したい。
今までの左派・中道政党は殆どが労組と言う利権に甘え、そしてそのしがらみに囚われていた。
かつて
社民党が自党内職員労組の解雇問題に際して「あの人たちは権利ばかり主張して自分の義務を果たさない」と言った大笑い話もあったが、実際に「無い袖は振れぬ」状態において振ることばかりを主張するような非現実的な路線では政権を担うことなど出来ない。
特に労組は単なる業界団体的な利権集団と異なり、比較的広範囲、多岐にわたる政策について絡んでくるため、これを切ることは非常に意義がある。
しかし、何と言っても惜しむらくは遅すぎた。
これを今まで出来なかったことが民主党のダメ政党たる最大の原因とも言えたのだが、今まで何度と無く指摘を受けておきながら、最終的に大怪我をしない限り改められない、と言うのは自浄能力の無さを表しているだろう。
それでも今回はまだ党内から前原党首を誕生させて、座して死を待つ道から打って出ることを決断したのだから、まだ若干は救い様があるということか。
前回選挙で民主党が躍進した段階で、当時の岡田党首が決断していれば、より健全な郵政国会となったであろう。
しかし、過ぎ去ったことをいつまでも愚痴っていても仕方がない。
今後の前原民主の政策提言に注目である。
既に
前原氏の政策基本方針について分析を開始したブログもあるが、僕自身も前原氏の経歴や過去の言動等に注目しつつ、その方向性を今後は検証したい。
今までのような「イメージとしてのリベラル」ではなく純粋な「国家のあり方としてのリベラル」に方向転換し、それに即した政策提言等を期待したい。
国家のあり方としてのリベラル
~公正な自由主義社会を実現し、全国民がその恩恵を享受できるように、機会平等に関しては積極的に介入し、結果については単純自由主義に拠る国家を理想とする考え方
日本一頭の○○○な(自称)国際評論家として、極々一部の電波な陰謀論者と「とんでも系」愛好家にのみ知られている小野寺光一先生について紹介したエントリーです。
小野寺光一先生、このことについては一切触れようとしませんwww
(自称)国際評論家小野寺光一先生の「政治・法律音痴」なメルマガ
国際評論家小野寺光一先生の「真実ではない」メルマガ
放談天国読者からのコメントで小野寺光一先生は心理状態に重度の問題を抱えている疑いが出てきました。
陰謀論
投影
強い電波
いつの間にか言ってることが全く変わっていたり、言ってもないことを言ったと主張する、小野寺光一先生の記録です。
(自称)国際評論家小野寺光一の逃亡記録~その3
(自称)国際評論家小野寺光一の逃亡記録~その2
(自称)国際評論家小野寺光一の逃亡記録~その1
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放談天国~By shigezo69の引越し予定先です
「日本道路公団改革という詐欺について」
偶然に
「天気良好!」と言うブログにこの「日本道路公団改革という詐欺について」と言うメルマガの記事が転載(本人は引用と言っているが明らかな間違い)されていたのを見つけ、興味深く読ませて頂いた。
日本道路公団は3年連続黒字で、それどころか無料開放のための資金を12兆円以上も積み立てている健全企業で、民営化する必要は全く無い、とするこの記事を見たときはぶっ飛んだ。
更には自信満々とばかりに日本道路公団の損益計算書と貸借対照表のページまで案内してくれて、解説してくれるありがたさ。
しかも、そこに書いてある数字を一つ一つ説明しながら、いかに日本道路公団が儲かっているかを解説してくれた。
なるほどね~、そうだったのかあ。
日本道路公団を民営化する必要なんか無いんだあ。
と、多くの人が思ったことだと思う。
そして、ここまで丁寧に一つ一つ数字を出されて解説されれば、わざわざ自分から日本道路公団の小難しい財務諸表を見ようなんて人間は余りいないだろう。
ただでさえ「メルマガ」と言う形式で配信しているのだから、小野寺氏を信頼している(意地悪なヲチャーは別として)購読者はそれで納得してしまうだろう。
どう考えてもそれに狙いがあるとしか考えられない!!
結論から言うとこのメルマガの論拠となっている部分は全くの大嘘なのである。
最大の問題箇所はここだ。
<一斉無料開放のための積立金>
ところで、この「償還準備金繰り入れとはなんじゃい?」
と思う人がいるでしょう。これは、実は、「償還=一斉無料開放」のことなんです。
つまり、わかりやすく言い換えれば、「経常費用(一斉無料開放のための積立金に繰り入れするお金を除く)を見ると、9,955億円になりました」と書いているわけです。
つまり今現在、「収益が2兆円、費用は、9,955億円、将来一斉無料開放するための積立金は、大体1兆円ありましたので積み立てました。」と平成15年度は言っているわけです。
(中略)
<一斉無料開放に必要な費用>
なんで、一斉無料開放のための積立金が「費用」の部に入るの?という疑問が出るでしょうが、これは、一斉無料開放実現のために「必要な」費用であるという考えからです。
(中略)
そう、現在、「日本道路公団が赤字だ」というのは猪瀬直樹の大嘘である。
そして、今まで、その無料開放のためのお金はどれだけたまっているのか?
というと、9ページの負債および資本の部に「償還準備金」とある。平成15年度を見ると、124,494とある。これは、「12兆4,494億円のこと」である。つまり、一斉無料開放のために、すでに12兆円もためているのだ。
で、実際にこの
日本道路公団の財務諸表の解説を読んでみよう。
PDFファイルの1ページ目1.(5)を見ると
償還準備金繰入は(中略)道路の建設に投下した借入金の返済に充てられました。
借入金の返済?積立金じゃないの?と言う話になる。
それで実際にこの償還準備金について調べると恐るべき大嘘が分かる。
この
償還準備金方式について解説した日本道路公団のwebページには「借入金の償還に充てられる各年度の収支差を『償還準備金繰入』として費用の部に計上し、その累計額を『償還準備金』として負債の部に計上する方式」と借金返済のために消えていった金であると言うことがしっかりと書かれている。
そして、借金が完済された時点でこの償還準備金と言う科目は貸借対照表の中から消えてしまう、と言うこともしっかりと書かれている。
そう、決してこれは無料開放のための積立金などでは無いのである。
「積立金」と言う言葉に惑わされやすいが、これは数字上、借入金の返済額を「積立」するだけのもので、現金が存在する訳では決して無い。
そもそもはこの
「償還=一斉無料開放」ではなく、「償還=借金の返済」なのである。
彼は「現在、『日本道路公団が赤字だ』というのは猪瀬直樹の大嘘である。」と語っているが「『一斉無料開放のために、すでに12兆円もためている』というのは小野寺の大嘘である。」と断言できる。
そして最終的にはやはりあれだけの規模の道路網を維持していくためにはそれ相応の維持費が必要だ、と言う話になるのである。
もちろん、積み立てていたはずの、ためていたはずのお金は無料開放された段階では全て借金返済に消えているから維持費の出所は存在しない。
当初予定通り国に引き渡して国道と同じ様に国庫で維持管理を行うか(地方自治体に任せるという案もある)、やっぱり有料にして維持管理費を捻出するかのどちらかしかない。
そして、損益計算書を見れば、事業外収入で維持管理費をまかなうことが不可能であることは明らかである。
「講釈師、見てきたような嘘を付き」との川柳があるが、この小野寺光一と言う男は実際に自分で資料を見ておきながら、国民を煽動する目的で嘘を付き、騙したのである。
彼はユダヤ資本へ日本の大切な資産を売り飛ばすために猪瀬と竹中が国民に嘘を付いている、と話している。
しかし、現実はこの小野寺光一と言う男がユダヤ陰謀論を流布するために大嘘を撒き散らしているのだ!!
「天気良好!」には8月29日の時点で「私自身まだ検証しておりません」と書いてあるので、いずれは検証するつもりだったのだろう。
フォローアップ投稿が無いところを見ると、まだ検証していないのか、検証したが余りに馬鹿らしくて書くのを止めたかどちらかだと思う。
余計なお節介だとは思うが、この小野寺光一の欺瞞に満ちた姿勢は許しがたいので、今回のエントリーを書かせて頂いた。
追記
1.念のために書いておくが、あくまで帳簿上の、数字上の話である。が、いずれにしろ「償還=無料一斉解放」でもなければ日本道路公団が12兆円もの資金をプールしている訳でもない。
1-2.「帳簿上の、数字上の話」と補足したが、それでも誤解している人がいるようなので更に補足追記したい。
この方式では「今年はこれだけお金が余りましたからこれだけ返します」と言う風に実際に返しているわけでは無い。
実際はそれぞれの債券の償還ルールに則って返済している。
なので実際に現金として動いた償還額と償還準備金の額は異なる。
それが「帳簿上の、数字上の話」と言うことである。
ちなみに、平成15年は約1兆円の借金返済費用を稼ぎ出しているが、約1兆円の新たな借金もしている。
2.この小野寺光一と言う男をGoogleで検索していたところ、なぜか眞鍋かをりのブログがヒット。
TBを送っていたのだが、古田の2,000本安打の話と、日本人の国家資産を国際金融財閥の政権から守る話がどう関係あるのか非常に興味がある。
こちらも宜しくw
放談天国~By shigezo69の引越し予定先です
スーパーのおじさんも自民党の政治家になっていた。
情報の検証の重要性は既に何度と無く書いてきた。
ただ「こんなことをニュースで言っていた」「ブログにこんなことが書いてあった」「2ちゃんねるでこんなことが書いてあった」と言うだけでそれを鵜呑みにしているようでは間違った情報に踊らされることになる。
「人間は考える葦である」とはフランスの学者、ブレーズ=パスカルの名言であるが、この情報化社会において流れて来る情報を受け入れるだけの思考停止状態ではただの風に揺られる1本の葦に過ぎない。
今回の衆議院選挙における自民党の圧勝で東京ブロックや南関東ブロックの意外な当選者が面白おかしくマスコミに取り上げられている。
特に
一切の選挙活動をせずに当選したスーパーマーケット経営の安井潤一郎氏は比較的多くのマスコミで取り上げられた。
冒頭コメントにあるように、あたかもただのスーパーのおじさんが、ただの商店会長が、武部自民党幹事長との個人的な繋がりで、一夜にして大与党の政治家になったかのように。
以下は、以前より全国からの講演依頼が殺到していた氏の肩書きである。
知多市防災まちづくり講演会の講師略歴から引用させていただいているが、この方がただのスーパーのおじさんか、それとも、地方分権が叫ばれ、中小企業や商店街の不況が深刻化する今の日本社会に必要な政治家か、それは皆さんで考えて頂きたい。
安井潤一郎氏の主な肩書き
内閣府中央防災会議委員
内閣府地域産業おこしに燃える会委員
総務省消防庁「防災・危機管理e-カレッジ」開発協力者
東京都「心の東京革命」推進会議委員
新宿区清掃リサイクル推進委員
東京都食肉事業協同組合本部理事
新宿区生鮮三品特販組合理事長
江戸開府400年記念事業商店街まつり実行委員長
早稲田いのちのまちづくり実行委員会委員長
循環型まちづくり推進協議会代表
早稲田商店会会長
㈱商店街ネットワーク代表取締役会長
NPO法人・東京いのちのポータルサイト理事長
追記
もちろん肩書きだけで安易に信じることほど愚かなことも無いことは言うまでも無い
山は動いた~土井社会党委員長(当時)(第15回参議院通常選挙を終えて)
ロイド=ジョージのクーポン選挙と並んで比べられるのが1989年の
第15回参議院通常選挙であろう。
と、言うよりもこの時の選挙自体がクーポン選挙的性格を持ってたといえる。
この時、社会党の委員長だった土井たか子は前の竹下内閣が打ち出した消費税反対と当時の内閣総理大臣であった宇野宗佑の女性スキャンダルに付け込む形で多数の女性候補者を擁立し、改選議席において自民党を上回るという大勝利を収めた。
マドンナ旋風といわれたが、旋風は旋風で終わり、竜巻となって政権を倒すことは結局出来なかった。
続く
第39回衆議院通常選挙でも躍進するが、自民党が底力を見せ踏みとどまり、以降党勢は衰退していく一方となって現在に至っている。
今回選挙と共通点とされるのが、ただひたすら「消費税反対」の一点突破であった点と、女性候補者の多さであろう。
これをして今回選挙を「マドンナ旋風に次ぐクーポン選挙」と称して、
「日本社会党がその後消滅の運命を辿った様に、中身のない単なるブームに依存することでしか勝てなくなった自民党は今後消滅する可能性が非常に高い」としている記事があったが、残念ながらこれも上辺の共通点をなぞっているだけの底の浅い、取るに足らない記事であると言わざるを得ない。
まず、この時の「マドンナ(実際にはチンコも起たない様なオバハン連中だが)」が主張していたのが「今こそ主婦感覚の政治を」「消費税反対」、これだけだったという点である。
まあ主婦感覚で政治をやられちゃたまったもんじゃない、と言う話は置いておいて、要は「家計簿が赤字になっちゃうから消費税反対」と言うだけだったのである。
そして、それ以外のことについては全く知らない馬鹿ばかりだったのだ。
当時中学生だった自分でさえ、おおよそ7:3と言う直間比率を知っていたのに、この馬鹿なオバハン連中は(よく言えば)税制改革を訴えて選挙に出ているにもかかわらず、当選しても直間比率すら知らなかったのだ。
こんな馬鹿を候補公認した土井たか子も、投票した人間も本当に馬鹿だと思う。
今回の選挙においては自民党執行部はここまでの愚は犯していない。
むしろ、政権の存亡をかけていただけに逆に強力な新人を立てて万全の布陣で対抗して来ている。
もちろん、分野において得手不得手はあるだろうが、中学生すら知ってる政治的知識も知らない馬鹿は立候補していない。
「数合わせの比例代表候補」とか「商店会長のおじさん」などと紹介されている安井潤一郎氏も、実際は防災やまちづくりに関して全国各地で講演を行っている人物である。
人材のクオリティーがまさに月とスッポンであるのだ。
続いて女性候補者の多さと言う点であるが、これも全く当時とは意味が違う。
当時は土井たか子と言うある意味傑出した人間が、女性議員すら今より珍しい時代に一党のリーダーとして君臨していた(蛇足であるが、勝利者側のリーダーが既存のリーダーと比べて異彩を放っているというのも共通点なのだが、なぜか指摘する声が少ない。負の要素では無いから取り上げたがらないのだろうか?)。
そこに、その傘下として同じ主張を繰り返す(当時としては珍しい)女性候補者が並んだわけである。
この時の女性候補者はまさにミニ土井たか子、コピーロボットと言ってもいいだろう。
更には主婦感覚や、男性政治家(総理大臣)の女性スキャンダル追求と、その当時の一点突破の材料が女性に最適、いや女性でしかそれを武器として一点突破できなかったのである。
だからこそあれほどの馬鹿でも女性と言うだけで当選できたのだが、逆に言えば武器が変わってしまえば女性である必要は全く無くなるし、それしか取り得が無かった連中は役立たずとなる。
今回選挙においては
料理研究家なんてヘンな候補もいたことには、一応は彼女も政治家の妻である。
また、その多くが現役政治家、官僚、政治学者、エコノミストと言ったそれなりの見識を持っている人物である。
彼女たちに求められたのは普遍的な「女性政治家」と言う価値観であり、その時だけ通用する女性政治家としての価値では無い。
以上のことから、これまたマドンナ旋風を引き合いに出して自民党政権の将来見たり、などと言うのは愚の骨頂、全くの見当違いといわざるを得ない。
尤も、この見解を出したのが「こんな素晴らしい意見が今まで出てこなかったのは政府による報道管制があったからだ」と平気で言うような電波ユンユンの妄想バカだから、それも納得できる。
2年以上も前から小泉とクーポン選挙の関連性については言われているにも関わらず、自分の不明さを棚に上げて憤っている馬鹿だから仕方ないが(左翼勢力に御用新聞と揶揄される産経新聞にすら解散後に出ていたんだけどね~)。
PS
随分前から言われていた定率減税廃止が正式路線になったことに対して「何故選挙中に隠してたんだ?」と言ってるテロ朝のM.S.と言う大馬鹿者や、素人でさえ読めた数日間の局地的政局も読めずに、大局的勝利ではなく局地的勝利にこだわって結局敗北したK.M.をして「優れた国家観を持った優秀な政治家」と持ち上げてるN.K.とかいう大馬鹿者のジャーナリストがいたりしたが、昨日みたいに馬鹿にばかり構っていると本来書こうと思ったことが書けないので止めておく。
衆院選当選者、憲法「改正する方がよい」81%
本来であれば昨日のロイド=ジョージのクーポン選挙に続いて「賢者は歴史に学ぶⅡ~マドンナ旋風」をエントリーするはずだったのだが、昨日色々なブログをフラフラしていて唖然とさせられるブログが幾つかあったので、急遽予定を変更してそのことについて触れたい。
今回選挙、きちっとした分析はしていないが、ざっと見て分析した感じでは実際に自民党は獲得議席ほどの支持は得ていない、と言う点である。
下の表を見て頂きたい。
これは今回と前回選挙における獲得議席数の推移であるが、サドン・デス方式の小選挙区制度に比べ、比例代表制の方は自民党の議席数は大きな伸びを見せているものの、それでも全体選挙結果ほどの圧倒的なものでは無い。
実際、小選挙区での自民党候補の得票率の伸びが全国で1.25倍程度であるのに対し、比例代表での議席の伸びは1.1倍程度に留まっている。
今回の選挙は劇場型といわれ、今まで政治に関心の無かった層、いわゆる無党派層が多く関心を持ち、ドラマティックで見ていて面白い小泉指示に繋がったことが自民圧勝の原因と言われているが、実際はこれだけではここまでの大圧勝は出来なかったであろうことは明白である。
では他にどの様な要因があってこの大圧勝をもたらしたのか?
それは小選挙区制度と公明党にある。
的確な分析で定評のあるIrregular Expressionでも触れられているが、これが小選挙区制度の威力である。
そのブログの中でGori氏は「小選挙区制は怖い。これが率直な感想。」と述べた上で、今回の圧勝の原因の大きな要因に選挙区制度があると分析している。
小選挙区議席が衆院の全体議席において占める割合の62.5%であるにも関わらず、増加議席の86.5%が小選挙区での獲得議席である。
サドン・デス方式の小選挙区制度では実際の得票率以上の極端な議席の増減を起こすことがしばしばある。
カナダでは1990年代に160議席以上の議席を保有していた政党が次回選挙で2議席にまで落ち込んだことがある。
それくらい凄いのがこの小選挙区制度である。
そして、この小選挙区制度で勝利の鍵を握ったのが公明党である。
詳しい理由を述べるのは避けるが(どうせみんな知ってるだろうし)、公明党は政界屈指の組織力を持った政党である。
確実に読める票を持っているというのは強みである。
そして、今回選挙は小選挙区の得票数でも自民党は全体の46%程度を獲得したに過ぎない。
ではこの選挙、仮に民主・公明連立政権だったらどうなったのだろうか?
分かりやすいケースとして東京3区で考えてみたい。
ここは自民党の新人が風に乗って民主現職を破った、といわれる選挙区である。
まず選挙区全体の公明支持層を概算にて算出してみたい。
比例代表での東京都全体投票数が6,624,594票。
公明党の得票数が820,126票で、東京都における公明党支持層の割合は
820,126÷6,624,594=0.12380019・・・
約0.1238となる。
これを東京3区に当て嵌めると東京3区の全体投票数が306,013票で、
306,013×0.1238=約37,884
と、37,884票が公明支持層の投票数であったと推測できる。
では、自民党新人の石原氏の得票のうちこの37,884票が民主党松原氏に移るとどうなるか?
結果は下の通り。
見事民主党の松原氏が大差を付けての当選となる。
これは何もこの選挙区に限ったことでは無い。
全国的にも公明党は比例代表で約13%程度の得票となっている。
これの大半が民主党へ仮に流れていたらどうなっていたか?
小選挙区での各党派別得票数や各選挙区での実際の得票を見ると、一番多いと思われる自民党候補が一歩抜け出して勝利した選挙区ではおおよそ
自民5:民主4:共産1
と言うパターンが多いかと思われる。
これがこれ以上の候補者を抱える選挙でも、また若干の構成が違っても、神奈川11区の様な無風区や岐阜1区の様な例外は別として、全体数を10とした時の自民と民主の得票数はおよそ1である。
自民公認VS造反議員の大激戦であった静岡7区ですらそうである。
ここで自民の5のうち、全体の1/10である公明支持層1が民主に移っただけで
自民4:民主5:共産1
と逆転してしまう。
今回選挙でダブルスコアで勝利した様な選挙区であれば磐石であろうが、そんな選挙区が幾つあっただろうか?
紛れも無く今回の自民圧勝の影の功労者は神崎代表が言う通り公明党にある。
前置きが長くなったが、言いたいことが分かっていただけただろうか?
今回選挙で自民が単独過半数を取ったことで「もう公明党はいらない」などと言う声が一部ネットで出始めているが見当違いもいいところである。
公明党が民主側に付いていれば自民党は大敗とまでは行かずとも、敗北していた可能性は十分あるだろう。
今回選挙で益々公明党と言う、全体議席の10%にも満たない党の価値観が上がってしまったのである。
「公明党でさえ、小泉が『おまいら。連立切るぞ。野党に戻るかゴルァ!』と言えば、あっという間に賛成に回るでしょ。現在の公明党はその程度の傀儡政党でしかないのだから。」と書いてあるブログがあるが、読み違いでは無いかと思う。
今のままでは憲法改変の発議は出せない。
公明党が比較的社会福祉政策を重視していることはよく知られている。
それは公明党の支持基盤層に深く関わることであり、だからこそ社会福祉政策に強い八代英太氏が東京12区から無所属で出馬したことをあそこまで恐れ、自民党に不快感を示したのである。
公明党は確かに確実かつ強固な組織と支持基盤を持つ政党である。
しかし、それは同時に柔軟性に欠けることを意味している。
憲法9条について公明党は一貫して堅持の立場を貫いている。
これは事実であり、そしてその支持基盤の性質から、これからも決して変えることは出来ない。
今の自民党では公明党がYESと言わないことは絶対に出来ない。
たとえ民主党や無所属の右派を味方に付けて憲法改正の発議を衆議院で行ったとしても、その時点で公明党と無党派層に見放され、次回選挙で今回の民主党と立場が逆転するのは火を見るよりも明らかである。
上辺の議席数でしか判断せずに、「知能と民度が低い」「白痴」「能天気」と好き放題言ってる大馬鹿者がいるが、それは全ておまえ自身のことだと言いたい。
その大馬鹿者はこれから国外逃亡するらしいが、こんな大馬鹿者はいるだけで日本社会にとって損害になるから早く中国だろうが韓国だろうが北朝鮮だろうがお好きな国にどうぞ、と言いたい(イラクでもいいんだが死ぬなら勝手に死んでくれ)。